殺虫剤あれこれ

お久しぶりです。
なかなか更新できませんでしたが生きております。
ちょっとハイラルを救うのに忙しくてですね…あ、いやなんでもないです。
今回は夏場に売り場での質問が多かった殺虫剤の話をしていこうと思います。

 

まずざっくりと殺虫剤にはピレスロイド系というものとそれ以外の成分とに分かれます。広く使われているのはまずピレスロイド系なのでそちらから。

 

ピレスロイド系とはもともと除虫菊という植物由来の成分(ピレトリン)を人工的に合成した成分の一群のことを言います。
作用機序としてはナトリウムチャネルを持続的に開いて脱分極を生じさせます。
実は猛毒で有名なトリカブト(に含まれるアコニチン)も同様な作用機序で、トリカブトの場合は人間が摂取すると神経が興奮しすぎてけいれん、嘔吐、心臓発作をおこし最悪死ぬことになります。
これがまあ、ピレスロイド系の殺虫剤をくらった虫でも同じことが起こるわけです。南無阿弥陀仏。
そう聞くとピレスロイド系って怖いもんだと思ってしますかもしれませんが、我々のような哺乳類や鳥類など恒温動物では体の中に入っても速やかに分解されてすぐに体外に出ていくため、特に虫に噴射したり部屋でちょっと焚く程度の量なら気にすることはないようです。
ただし熱帯魚などお魚さんや両生類、爬虫類などの変温動物には影響がありますので注意が必要です。
意外とバルサンで金魚がぁああとかはあるらしいです…。
あと人間の場合、体の中に入ってしまう分にはそんなに問題はないのですが(さすがにゴクゴク飲んだら死にますけど)接触毒性のほうがありますのでシーツとかに殺虫剤がかかっていてそのまま寝転がってかぶれたり、気管支に吸い込んでしまうと化学性の気管支炎になることがあるのでそこは気を付けましょう。

 

と、ざっくりと話してきましたが、ピレスロイド系と言っても種類がありますのでいくつかご紹介を。

 

フタルスリン・・・即効性、ノックダウン効果が高い。
レスメトリン・・・致死効果が高い。
この二つはスプレータイプの殺虫剤によく使用されています。

 

フェノトリン・・・残効性、致死効果がある。
スミスリンと言ったほうがピンとくる人もいるかもしれません。
安全性が高く、シラミ駆除とかでも使います。
あとはバルサンとか。燻煙剤にも。

 

シフェノトリン・・・残効性、致死効果がある。
フェノトリンと特徴は似ていますがゴキブリ駆除では抜群の追い出し殺虫効果があります。

 

トランスフルトリン・・・揮散性、殺虫効果が高い。
CMでよくやっていた蚊がいなくなるスプレーの成分です。

 

まだまだありますがとりあえず代表的なものはこのくらいですね。

 

ここまでがピレスロイド系のお話でしたが、それ以外の殺虫剤のお話も少ししたいと思います。
と言ってもピレスロイドほど家庭で使っているものってそんなにないのですが。
倉庫やごみ置き場などで使うジクロルボスと、ピレスロイドに耐性があるゴキブリに使うメトキサジアゾンについてちょっとばかし。
すこし小難しい話になってしまいますので何となく流し読みでいいかと。

 

まずジクロルボスですが、以前食品に残留していたとして問題になった薬剤で記憶にある人もいるのではないでしょうか。
この薬剤は有機リン系という分類に入り、コリンエステラーゼ(神経伝達物質を分解して神経の興奮状態を抑える)を阻害して神経伝達物質を増やし、神経を過剰に興奮させて毒性を出す殺虫剤になります。あの有名なサリンと同じ分類に入ります。
商品としてはバポナの殺虫プレートがあります。
先ほどのピレスロイドとは違い、比較的危険性の高い薬剤であるので薬剤師の説明を受けてからでないと購入ができない商品になります。
使う場所も人気のないような場所で風がなく虫が湧きそうなところと限定されているのであまり使う機会はないかと思います。

 

最後にメトキサジアゾンについてです。
オキサジアゾール系という分類に入る薬剤で先ほどのジクロルボス同様、コリンエステラーゼを阻害し神経を過剰に興奮させて殺虫効果を出します。
しかし有機リン系と違って作用は可逆的(阻害されたコリンエステラーゼをもとに戻すことができる)なので比較的安全性の高い薬剤としてバルサンやアースレッドに入っている成分となります。
とはいっても、もちろんゴクゴク飲んだら間違いなく死にますからやめましょう。

 

大体殺虫剤だとこのくらいになりますかね。
もう今年は虫の季節も終わりに近づいてきましたが来年に備えましょう。
では。

飛べない蟻はただの蟻だ

雨が降った次の日の夜。
やたらと店の中に羽虫が飛んできているのに気づきました。
どうやら光に誘われてきている様子です。
化粧品の棚の明かりの下はうじゃうじゃといてクレームがきそうな勢いです…。

シロアリだとえらいことになるので近くで観察してみましたがどうやらクロアリのようです。
ちょっと安心…。

 

……とここで『?』マークを浮かべているあなた。
そうです。シロアリは季節によっては羽がついて飛んでくる個体ができるのです。
種によって発生時期は前後しますが梅雨から夏にかけてが多いようですね。
そしてさらに、シロアリの羽蟻はわりと黒いんです。いや種によっては羽蟻でなくても黒っぽいシロアリもいます。
黒いシロアリってなんか矛盾な感じですけどねw
さらに言うとシロアリは蟻の仲間ではないのです。あとクロアリはシロアリの天敵です。
で、シロアリは何の仲間かと申しますと、みんな毛嫌いしているあやつです…ゴキブリの仲間なのです。
ちっこいのでパッと見ただの白い蟻ですがよくよく観察するとだいぶ形状が違うことに気が付きます。
簡単な比較表を描いてみました。

図を見ればわかると思いますがまずシロアリにはあまりくびれがありません。寸胴です。
クロアリのほうがボンキュッボンとスタイルが良いように見えますw
すまんねシロアリさん。
そして次に触覚です。
『く』の字に曲がっているのがクロアリですが、こうなんというか数珠みたいにぼこぼこしててまっすぐな触覚なのがシロアリです。
あとは羽の形でしょうか、クロアリは前の羽と後ろの羽で形が違うのですが、シロアリは前も後ろも同じような大きさ形の羽で先端が丸い感じです。

 

ちなみにシロアリって一言で言ってもすごい種類があるんですね。
この記事書くにあたってちょっと調べたのですが地球上で2500種も種類があるのだとか。
日本にはそのうちの22種類がいて、さらに家に被害を出すのはその中の4種類という感じです。
その4種の中でさらにタイプが二つに分かれて、土壌性シロアリ(ヤマトシロアリ、イエシロアリ)と乾材シロアリ(アメリカカンザイシロアリ、ダイコクシロアリ)があるようです。
このタイプの違いによってシロアリ駆除の仕方が違ったり、それに伴ってシロアリ保険の適応かどうかが違ったりするそうなので家を買う際は十分に気を付けておきたいところですね。
あと羽蟻のシロアリの巣(というか発生源の穴とか)を見つけたとしても殺虫スプレーをかけてはいけないらしいです。
業者さんのサイトに書いてありました。
どうやら散り散りに逃げて余計に範囲を拡大してしまうようです。
あと羽がすぐ落ちてしまうようなので羽が散乱して殺虫剤でくっついてえらいことになるのだとか。
なので見える分を掃除機で吸い取ってしのぎつつ業者を呼ぶのがよいようです。

そんなこんなで家を食いつぶす嫌われ者のイメージですが、森では古い木を土に還すための大事な役割を担っている昆虫になります。
もし生物の授業を受けたことがある方だと知っているかもしれませんが植物の『セルロース』を分解できる代表生物です。
身近なところだと不溶性食物繊維といったほうがピンとくる方が多いかもしれませんね。
人間の消化酵素では分解できないのです。
とはいえシロアリも消化酵素で分解しているのではなく、腸内にセルロースを分解できる微生物がいるからなのですが。
まあ、細かいことは良いのです。
生命の神秘ってことで。