殺虫剤あれこれ

投稿日:2018年9月10日 | 最終更新日:2023年11月5日

お久しぶりです。
なかなか更新できませんでしたが生きております。
ちょっとハイラルを救うのに忙しくてですね…あ、いやなんでもないです。
今回は夏場に売り場での質問が多かった殺虫剤の話をしていこうと思います。

 

まずざっくりと殺虫剤にはピレスロイド系というものとそれ以外の成分とに分かれます。広く使われているのはまずピレスロイド系なのでそちらから。

 

ピレスロイド系とはもともと除虫菊という植物由来の成分(ピレトリン)を人工的に合成した成分の一群のことを言います。
作用機序としてはナトリウムチャネルを持続的に開いて脱分極を生じさせます。
実は猛毒で有名なトリカブト(に含まれるアコニチン)も同様な作用機序で、トリカブトの場合は人間が摂取すると神経が興奮しすぎてけいれん、嘔吐、心臓発作をおこし最悪死ぬことになります。
これがまあ、ピレスロイド系の殺虫剤をくらった虫でも同じことが起こるわけです。南無阿弥陀仏。
そう聞くとピレスロイド系って怖いもんだと思ってしますかもしれませんが、我々のような哺乳類や鳥類など恒温動物では体の中に入っても速やかに分解されてすぐに体外に出ていくため、特に虫に噴射したり部屋でちょっと焚く程度の量なら気にすることはないようです。
ただし熱帯魚などお魚さんや両生類、爬虫類などの変温動物には影響がありますので注意が必要です。
意外とバルサンで金魚がぁああとかはあるらしいです…。
あと人間の場合、体の中に入ってしまう分にはそんなに問題はないのですが(さすがにゴクゴク飲んだら死にますけど)接触毒性のほうがありますのでシーツとかに殺虫剤がかかっていてそのまま寝転がってかぶれたり、気管支に吸い込んでしまうと化学性の気管支炎になることがあるのでそこは気を付けましょう。

 

と、ざっくりと話してきましたが、ピレスロイド系と言っても種類がありますのでいくつかご紹介を。

 

フタルスリン・・・即効性、ノックダウン効果が高い。
レスメトリン・・・致死効果が高い。
この二つはスプレータイプの殺虫剤によく使用されています。

 

フェノトリン・・・残効性、致死効果がある。
スミスリンと言ったほうがピンとくる人もいるかもしれません。
安全性が高く、シラミ駆除とかでも使います。
あとはバルサンとか。燻煙剤にも。

 

シフェノトリン・・・残効性、致死効果がある。
フェノトリンと特徴は似ていますがゴキブリ駆除では抜群の追い出し殺虫効果があります。

 

トランスフルトリン・・・揮散性、殺虫効果が高い。
CMでよくやっていた蚊がいなくなるスプレーの成分です。

 

まだまだありますがとりあえず代表的なものはこのくらいですね。

 

ここまでがピレスロイド系のお話でしたが、それ以外の殺虫剤のお話も少ししたいと思います。
と言ってもピレスロイドほど家庭で使っているものってそんなにないのですが。
倉庫やごみ置き場などで使うジクロルボスと、ピレスロイドに耐性があるゴキブリに使うメトキサジアゾンについてちょっとばかし。
すこし小難しい話になってしまいますので何となく流し読みでいいかと。

 

まずジクロルボスですが、以前食品に残留していたとして問題になった薬剤で記憶にある人もいるのではないでしょうか。
この薬剤は有機リン系という分類に入り、コリンエステラーゼ(神経伝達物質を分解して神経の興奮状態を抑える)を阻害して神経伝達物質を増やし、神経を過剰に興奮させて毒性を出す殺虫剤になります。あの有名なサリンと同じ分類に入ります。
商品としてはバポナの殺虫プレートがあります。
先ほどのピレスロイドとは違い、比較的危険性の高い薬剤であるので薬剤師の説明を受けてからでないと購入ができない商品になります。
使う場所も人気のないような場所で風がなく虫が湧きそうなところと限定されているのであまり使う機会はないかと思います。

 

最後にメトキサジアゾンについてです。
オキサジアゾール系という分類に入る薬剤で先ほどのジクロルボス同様、コリンエステラーゼを阻害し神経を過剰に興奮させて殺虫効果を出します。
しかし有機リン系と違って作用は可逆的(阻害されたコリンエステラーゼをもとに戻すことができる)なので比較的安全性の高い薬剤としてバルサンやアースレッドに入っている成分となります。
とはいっても、もちろんゴクゴク飲んだら間違いなく死にますからやめましょう。

 

大体殺虫剤だとこのくらいになりますかね。
もう今年は虫の季節も終わりに近づいてきましたが来年に備えましょう。
では。

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