飛べない蟻はただの蟻だ

投稿日:2018年6月19日 | 最終更新日:2023年11月5日

雨が降った次の日の夜。
やたらと店の中に羽虫が飛んできているのに気づきました。
どうやら光に誘われてきている様子です。
化粧品の棚の明かりの下はうじゃうじゃといてクレームがきそうな勢いです…。

シロアリだとえらいことになるので近くで観察してみましたがどうやらクロアリのようです。
ちょっと安心…。

 

……とここで『?』マークを浮かべているあなた。
そうです。シロアリは季節によっては羽がついて飛んでくる個体ができるのです。
種によって発生時期は前後しますが梅雨から夏にかけてが多いようですね。
そしてさらに、シロアリの羽蟻はわりと黒いんです。いや種によっては羽蟻でなくても黒っぽいシロアリもいます。
黒いシロアリってなんか矛盾な感じですけどねw
さらに言うとシロアリは蟻の仲間ではないのです。あとクロアリはシロアリの天敵です。
で、シロアリは何の仲間かと申しますと、みんな毛嫌いしているあやつです…ゴキブリの仲間なのです。
ちっこいのでパッと見ただの白い蟻ですがよくよく観察するとだいぶ形状が違うことに気が付きます。
簡単な比較表を描いてみました。

図を見ればわかると思いますがまずシロアリにはあまりくびれがありません。寸胴です。
クロアリのほうがボンキュッボンとスタイルが良いように見えますw
すまんねシロアリさん。
そして次に触覚です。
『く』の字に曲がっているのがクロアリですが、こうなんというか数珠みたいにぼこぼこしててまっすぐな触覚なのがシロアリです。
あとは羽の形でしょうか、クロアリは前の羽と後ろの羽で形が違うのですが、シロアリは前も後ろも同じような大きさ形の羽で先端が丸い感じです。

 

ちなみにシロアリって一言で言ってもすごい種類があるんですね。
この記事書くにあたってちょっと調べたのですが地球上で2500種も種類があるのだとか。
日本にはそのうちの22種類がいて、さらに家に被害を出すのはその中の4種類という感じです。
その4種の中でさらにタイプが二つに分かれて、土壌性シロアリ(ヤマトシロアリ、イエシロアリ)と乾材シロアリ(アメリカカンザイシロアリ、ダイコクシロアリ)があるようです。
このタイプの違いによってシロアリ駆除の仕方が違ったり、それに伴ってシロアリ保険の適応かどうかが違ったりするそうなので家を買う際は十分に気を付けておきたいところですね。
あと羽蟻のシロアリの巣(というか発生源の穴とか)を見つけたとしても殺虫スプレーをかけてはいけないらしいです。
業者さんのサイトに書いてありました。
どうやら散り散りに逃げて余計に範囲を拡大してしまうようです。
あと羽がすぐ落ちてしまうようなので羽が散乱して殺虫剤でくっついてえらいことになるのだとか。
なので見える分を掃除機で吸い取ってしのぎつつ業者を呼ぶのがよいようです。

そんなこんなで家を食いつぶす嫌われ者のイメージですが、森では古い木を土に還すための大事な役割を担っている昆虫になります。
もし生物の授業を受けたことがある方だと知っているかもしれませんが植物の『セルロース』を分解できる代表生物です。
身近なところだと不溶性食物繊維といったほうがピンとくる方が多いかもしれませんね。
人間の消化酵素では分解できないのです。
とはいえシロアリも消化酵素で分解しているのではなく、腸内にセルロースを分解できる微生物がいるからなのですが。
まあ、細かいことは良いのです。
生命の神秘ってことで。

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